ACL(前十字靭帯)損傷予防に効果的な7つの筋力トレーニング

こんにちは!
コンディショニング&トレーニングコーチの森川です。

サッカー、ラクロス、バスケットボールで起きやすいのが、膝と足首のケガ。
グラウンドやコートに行くと試合や練習前にテーピングを巻いていたり、松葉杖をついて見学をしている選手をよく目にします。

膝のケガで特に気をつけたいのが「ACL(前十字靭帯)損傷・断裂」
損傷の度合い、目標としている大会により、手術するかどうかを整形外科医の先生と判断しますが、手術をする場合は試合に復帰するまでに「6ヶ月〜9ヶ月」ほどかかり、練習から長期離脱をしなければならなくなってしまいます。

ACL損傷・断裂を防ぐために、研究者の先生方がどんな動きを避けるべきか、どんな身体の構造の人は気をつけるべきかなどを研究し続けてくださっていることで、「どんなトレーニングが予防に効果的か」も、少しずつわかってきています。

日本におけるラクロス選手のACL損傷の予防に関する研究はまだ僅かですが、海外での研究や、ラクロス以外のスポーツでの研究は進んでいるので、その研究を元に、今回はウォーミングアップやフィジカルトレーニングで取り入れていただきたい、筋力トレーニングをご紹介します。

1.なぜラクロス選手がACL(前十字靭帯)を損傷しやすいのか?

「膝の靭帯をケガした」というと、ラグビーやアメフトのような強いコンタクトのあるスポーツで、膝に直接タックルを受けてケガをする場面をイメージしやすいですが、実はラクロスやサッカーのように膝に直接タックルを受けないスポーツでも、「切り返し」「着地」「間接的なコンタクト」で靭帯をケガしてしまうことが多くあります。

※下の映像が女子ラクロス選手の間接的なコンタクトによる受傷シーンです。受傷シーンを不快に思う恐れがあるので閲覧にご注意ください。

ラクロスはダッヂのように「カッティング動作」の多いスポーツです。しかも頭上でクロスを扱うため、上半身に意識がいきがちです。
また大学からラクロスを始める人も多く、カッティング動作になれておらず、切り返しに耐える筋力が備わっていないまま、急激なカッティング動作を行うため、ACLのケガを負ってしまいます。

特にカッティングで足を接地する瞬間に、膝が内側に入り、つま先が外を向く「Knee-in・Toe-out(ニーイン・トゥーアウト)」の動作が起こると受傷しやすいことが明らかになっているので、この動作を起こさないための筋力と動きのトレーニングをすることが重要です。

2.ACL(前十字靭帯)損傷を予防する筋力トレーニング

ACL損傷を予防するためには、柔軟性、筋力、バランス、ステップワーク、ジャンプなど、様々な要素を鍛え、ケガをしないための動きを身に付けることが重要です。その中でも今回は筋力トレーニングに的を絞ってご紹介します。

2ー1.シングルレッグ・バックブリッジ


【やり方】
①スネが床と垂直になるように膝を曲げ、つま先を上げます
②かかとで地面を押して、お尻を持ち上げます
③体が一直線になったところで静止し、右足を伸ばします
④伸ばした脚は、反対側の太ももと同じ高さにします
⑤膝を伸ばしきったらゆっくりと元の位置に戻します

【ポイント】
・お尻の位置が下がらないようにしましょう
・腰が反らないように気をつけしましょう

【効果】
・お尻を鍛えることで下半身が安定し、膝のケガ予防予防に効果あり

【セット数】
・10回×2set(左右)

2ー2.クラムシェル


【やり方】
①かかと・お尻・体を一直線にする
②下の脇腹と床の間に手のひら一枚分隙間をつくる
③かかとが離れないように、膝を持ち上げる
④最大限持ち上げたらゆっくりと元の位置に戻す

【ポイント】
・おへその向きが変わらないように気をつける
・腰がそらないように注意

【効果】
・お尻を鍛えることで下半身が安定し、膝のケガ予防に効果あり

【セット数】
・10回×2set(左右)

2ー3.サイドブリッジ


【やり方】
①肩の真下に肘が来るようにして、体を持ち上げる
②手を真上に上げ、右脚を最大限に持ち上げる
③目線は正面にし、頭から膝まで一直線になるように保つ

【ポイント】
・体がくの字にならないよう注意
・腰が反らないように注意

【効果】
・お尻を鍛えることで下半身が安定し、膝のケガ予防に効果あり

【セット数】
・10秒×2set(左右)

2−4.フロントブリッジ


【やり方】
①肩の真下に肘が来るようにして、体を持ち上げる
②頭から足まで一直線になるように保つ

【ポイント】
・お尻の位置が変わらないように気をつける
・頭の位置も変わらないように注意

【効果】
・体幹の安定性を高めることで、膝のケガ予防に効果あり

【セット数】
・15秒×2set

2ー5.ヒップローテーション


【やり方】
①四つ這いの姿勢を作り、脚を後ろに伸ばす
②膝を大きく開きながら、股関節を回す

【ポイント】
・肘を真っ直ぐに保つ
・骨盤が横に動かないように注意

【効果】
・お尻の筋力、股関節の可動性が上がり、膝のケガ予防に効果あり

【セット数】
・10回×2set(左右)

2ー6.フロントランジ


【やり方】
①足を腰幅に開き、膝とつま先を正面に向ける
②片脚を前に踏み出し、その脚でスクワット姿勢を作る
③前脚のももと床が45度の姿勢で接地し、元の位置に戻す

【ポイント】
・膝が内側に入らないように注意
・膝がつま先より前に出過ぎないように行う

【効果】
・安全なストップ動作を習得することで、膝のケガ予防に効果あり

【セット数】
・10回×2set(左右)

2ー7.チューブウォーク


【やり方】
①膝上にチューブを巻き、足を腰幅に開く
②つま先と膝を正面に向けて、腰を落とす
③小さい歩幅で、一歩ずつ横に移動する
④お尻の筋肉を、使う意識で行う

【ポイント】
・歩幅が大きくならないように注意
・なるべく頭の高さが変わらないように移動する

【効果】
・お尻の筋肉を使うことで、膝のケガ予防に効果あり

【セット数】
・10歩×2往復

3.まとめ

今回はラクロスやサッカー選手の引き起こしやすいACL(前十字靭帯)損傷・断裂予防のための筋力トレーニングをご紹介しました。
ACL(前十字靭帯)を損傷してしまい、手術を受けるとなると1シーズンを棒に振ってしまう恐れがあります。筋力のある人でもケガしてしまう可能性はあるので、「私は大丈夫」と思わず、継続的に実施できるよう、普段のトレーニングの中に少しずつ取り入れてみてください。

【参考文献】
・National Athletic Trainers’Association Position Statement:Prevention of Anterior Cruciate Ligament Injury
・財団法人 日本スポーツ協会:公認アスレティックトレーナー専門テキスト
・福林 徹、蒲田 和芳 監修(2008)『ACL損傷予防プログラムの科学的基礎』:NAP Limited

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